20190514Servelozenelfutbol

サッカー選手はサッカー指導者の先生 〜サッカーにおけるスピードについて考える〜

「サッカー選手というのは我々サッカー指導者の先生だな」と最近つくづく思います。プロの選手達がやっていることを僕たち指導者は観て「なるほどこうやっているのか」と頭にメモします。そうすることで我々は様々な引き出しを増やしていくわけです。選手達のボールの扱い方は素より、動き方、動きの軌跡、時間の使い方(タイミング、緩急)、目線、情報交換の質やそのタイミングetc、その内容は多岐に渡ります。試合中のピッチ上にはボールに近い場所、遠い場所に関係なく沢山の「芸」が散りばめられているわけですね。そういう意味ではサッカー場で生で観た方がよりいいと思います。そしてこれまで見たことのない選手を見る時というのは「どんな芸を教えてくれるのだろう」とワクワクするものです。昨日はスペイン2部リーグ、マラガ対オビエドを観ていましたが、日頃あまり見ないチーム同士の対決だっただけに沢山の刺激がありました。

写真は今回のチャンピオンズリーグ準決勝1stレグ。トッテナム対アヤックスでの一幕です。デンマーク代表エリクセン選手によるチームにスピードを与えるプレーがはっきりと見えるショットになっています。アタッキングサードに入ったくらいだったでしょうか。ピッチの左サイドでのエリアでした。高い速度でドリブルしてきた仲間に相手選手が接触します。突然ボールはエリクセン選手の元にこぼれてきます。接触が起こった場所から彼の場所までは2mほどでしょうか。ボールが足元に来るまでには1秒もかからないその間に、逆サイドの遠いエリアの状況を確認します。さすがだなとため息が出るプレーでした。とても「速い」プレーです。勿論そのタイミングで情報を収集することを試合のレベルが要求しているというのもあります。試合のレベルが下がればわざわざそのタイミングで目を切らなくてもいい訳ですから。それでも彼が世界有数の攻撃的MFに成らしめている所以がここでも見えたと感じました。

今回のエリクセン選手の芸のように、我々指導者はこうやってプロ選手のプレーからサッカーを学んでいくわけですね。そしてそれらを知識として沢山収納し、我々の現場でいつでも使えるように備えておくわけです。別にすぐにそれを使う必要はありません。機会をみて出していければいいと思います。大体のサッカーチームには1人くらい攻撃的なセンスを持ち、ラストパスを出すことが大好きで得意な選手がいます。こういう選手の中にはラストパスを出すことにこだわりを持っています。因みに往往にしてそういう選手は身体能力の低さをウィークポイントにしていたりします。その選手と一年時間を過ごす中でタイミングを見てその話をしてやるといいと思います。その選手の記憶の残るタイミングがいいと思います。この記憶に残るかどうかって大事だなと思います。なぜなら労力も時間にも限りがあるからです。僕の経験ではその選手が「もっとうまくできるようになりたい」という気持ちが高ぶった時にそれを届けてやると、結構響きます。何かが理由で強く悔しがっている時などもいいかも知れません。これもあくまで感覚ですが、感情と知識をセットにしてやると記憶に変わりやすい。一番よくないのは、本人が別にそれを必要としていない状態で、それを見せること。何とも思ってくれませんし、一瞬で忘れ去られてしまいます。勿論自分も労力を使っているわけですから「あぁ話さなかったらよかったな」と誰にとっても良い時間にはなりません。かと言って全部が全部タイミングをこちらが見て話すわけにもいきません。難しいですね笑。我々指導者の仕事は何でしょうか?それはサッカー選手から学んだことを自分の現場のサッカー選手達に届けること。ある意味、宅配業みたいですね。

最後に、せっかくスピードの話になったので。サッカーという競技のスピードを支える要素を書き出してみます。これら5つの要素が高まるとそのチームのサッカーは速くなると僕は思います。因みに写真のエリクセン選手のプレーは3つ目に該当します。あのタイミングで遠くを見るのは、とにかく決断を早く下すことに繋がります。結果的にそのチームのプレーはスピードアップします。

●単純な移動速度 :パススピード、走るスピード

●判断を間違わない :「知覚・判断・実行」の判断部分の正確性

●決断を下すタイミングの早さ:上記の間違わない判断を早く行う

●テクニック :「知覚・判断・実行」の実行部分の正確性

●身のこなし :テクニックの延長線上。というかその一部

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