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日本代表が参考にするべきクラブチーム ~スイス・チェコの強豪を見て感じたこと~

皆さんこんにちは。日本では一度落ち着きかけたコロナ問題が再燃していますね。こちらも引き続き外出禁止令が発動中。当然ですが、サッカー場に足を運んで、生でサッカーを観る機会が無くなってしまいました。何より早くこの事態が収束することを祈るばかりです。

色んなサッカーを観ることの重要性

 こういう時にこそできることもあります。それは日頃見れないサッカーを観るというもの。現場を持っている方に共通していること。それは他のサッカーを見る機会をなかなか作れないというものです。僕もいつも週末は試合を見るためにサッカー場をハシゴし続けています。

・自チームの試合

・翌週以降の相手の分析

・来年に向けての選手のスカウティング

・自クラブの試合

・様々なカテゴリーの観戦:リーガ1部、セミプロ、ユース、その他

サッカー場ハシゴをしている際に目に入るのはリーガの中継。町中のカフェやバルで国内リーグの試合が放送されています。そして今改めて思うことは「偏っているよな」ということ。日頃から自分が触れているサッカーはスペインという文化の中で育っているサッカーばかり。こんな状態では他国の試合を観戦するタイミングというのがありません。これは良いことではありません。ある意味「不健康」な状態です。

我々が引退するまでやり続けるべきことは?それは「色んなサッカーを見続けること」だと思います。自分をアップデートし続けておく必要があります。その為には身の回りにあるサッカーだけに偏っていてはいけません。一つのチームだけを追っかけるのも視野が狭くなります。もっと言うと一つの国のリーグに偏るのもよくないと思います。色んなサッカーに触れることで色んな角度から刺激が入ります。その時入る刺激は我々の「当たり前」に疑問を提示します。例えば、ペップが率いたバイエルン。右SBラームが中に入ってきてボランチになるのを観た時、皆さんはどう思いましたか?多くの人の「当たり前」が壊された瞬間だったと思います。

オシムさんは現場を離れ後もサッカーの進化を追っていると聞きます。ミケル・エチャリの授業で使われる映像は最新のハイライト映像が使われていました。ポルトガルに研修に行った時、安田君(現・大分トリニータ)がフラデ氏についてこう言っていました。「先生はいつも週末8試合くらいは観ているよ」と。こんな大先輩達が今なお、新しいサッカーを見続けているわけです。如何に我々指導者にとって自身をアップデートし続けることが大事だということがわかります。これがなけば毎週の試合を準備をする際の解決法が増えません。これがなければ育成年代の選手に対して間違った道しるべになってしまいます。

色んな試合を見ること自体が面倒くさくなった時。それは指導者として本当に怖い時だと思います。

スイスとチェコの強豪

と言うことで。この機会を逃すまいと日頃触れられないサッカーを見ようと思いました。先日はスイスリーグのSt.Gallen。チェコリーグのSlavia Prahaを観ました。両チームの良い評判を聞いたことがあったので。どんなサッカーをしているチームなんだろう?と。

スイスリーグの強豪、St.Gallen。戦術的に珍しいチームでした。攻守において442菱形を操縦し、ボールを握って試合を支配しようとします。中々このシステムを主に使ってシーズンを過ごすチームは多くありません。相手のサッカーを壊しに行くチームがよく使うシステムというイメージです。自チームでも相手がこのシステムで守備をしてくるといつも苦戦します。そして改めてこのシステムにおけるサイドバックの重要性を感じました。若く才能溢れる選手が多くいるチームでした。センターバックの選手なんてまだ高校2年生(2002年生まれ)です。

チェコ国内リーグ1位のSlavia Prahaを見ました。今スペインでも少し噂になっている監督が指揮をとっています。先日彼らはチャンピオンズリーグでバルサと対戦しました。そしてカンプ・ノウで見事引き分けたことは記事にしたかと思います。「チェコ人達がカンプノウで引き分けたぞ」と話題になりました。結果だけでなく、この時のサッカー自体が称賛されています。なぜなら、勇敢だったと。守って耐えるだけじゃなかったと。かと言って真っ向勝負を挑むわけには行きません。試合の時間帯によって戦略を使い分けていました。ピッチ上でゾーンとマンツーを高度に使い分けていました。ボールを奪ったら勇敢にピッチを広げてバルサを走らせていました。そしてそこからゴールに迫るシーンも結構ありました。精神、技術、戦術が融合された素晴らしい作品でした。なので今回は国内リーグで彼らがどんなプレーをしているのか見てみたかったんですね。自国リーグでは全く違うサッカーをしています。当然です。相手の力量が違うんですから。印象に残ったのは「しっかり訓練されているな」というもの。

日本代表と似た境遇

こう言ったヨーロッパの中堅国の強豪チーム。彼らは自国リーグでは優勝候補です。どの試合も主導権を握って「自分たちのサッカー」をすることができます。世界的な知名度はそこまで高くありませんが、非常に優秀な選手がいます。そしてそういう選手は欧州の列強リーグに買われていきます。大体10-20%の選手が列強リーグでプレーするレベルにあると思います。事実Slavia Prahaの若き主将Tomas Soucek(写真)はこの冬ウェストハムに移籍しました。ため息が出るくらい良い選手です。Petr Sevcik(写真)もいい。二人ともチェコ代表の主力です。

こういったヨーロッパ中堅国の強豪はチャンピオンズリーグ予備予選を戦います。その中でしっかりと訓練されたチームは勝ち上がり、本大会の切符を得るわけですね。しかしそこから先は別の舞台です。レベルがぐっと上がるんですね。大きく舵を切ってサッカーの種類を変えなければいけません。それまでとは違ったサッカーをしなけばいけなくなります。

この環境は日本代表が置かれたそれと似ているなぁと感じます。アジア予選と世界大会では代表の立ち位置が大きく異なるのと同様です。

では日本代表が世界を唸らせる時のサッカーとは何か?日本代表がブラジルやスペイン、フランス、ドイツに勝利する為には何をしなければいけないか?「日本人悪くなかってんけどなぁー」という声をこれまで何度も聞かされました。「うまいし、いい選手いるし、俺は好きだよ」と。でも勝つとなるとまた別の話です。そこではきっと一種類のサッカーを押し通すだけではいけません。色んなフェーズの準備を徹底的にしなければいけません。そう考えると、モデルにするべきはFCバルセロナでもリバプールでもありません。このチェコのチームのように綿密な戦略を駆使して、でも勇敢に自分達の良さを出す必要があると思います。そんなことを考えさせてくれた2チームでした。

岡崎篤

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