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スペインでチームを率いる18-19(18) チームを探す

今回はスペインでチームを探すことについて書こうと思います。まだ次のチームは決まっていません。この時期に決まっていないのは少し遅いと思います。だから焦ります。経験豊富な先輩方からは「焦るな」「機を待つんだ」と言われます。でもそれって凄く難しい。

「今日でお前を解任する。ただ来季もここで働いて欲しい。」とクラブから言われたのは解任当日。その後、一週間あいだを空け、気持ちがある程度落ち着いた時にディレクターに思いを伝えました。「ここ(解任されたクラブ)で来年やれるとはどうしても思えないんだ」と。チーム探しはそこから始りました。皆さんは今もし新しいクラブを探すとすれば何を優先しますか?基準は明確に持っていますか?

解任された当日。ニュースを聞きつけたライバルクラブから連絡がありました。「話がしたい。来季はウチのクラブでやってほしい」と。解任を知らされた会議から3時間後のことでした。それにしてもこの国は人から人へと情報が移るスピードが速いな、と改めて思いました。そして有難いことに、それ以降もいくつかオファーを頂くことができました。ただ僕は十分な基準を持っていませんでした。二つ持っていましたが、もう一つ自分が大事にしている基準に気づくのは暫く後のことでした。

基準1「志の高さ」

僕は選手側の「志の高さ」を凄く重要視します。それは上手いとか、速いとか、サッカー理解が深いとかではありません。言い換えると、指導者側の強烈な要求を嬉しいと受け入れられるかどうか。なぜなら監督として高いレベルで何かを創り上げたいと思う時、当たり前ですがそれを実際にピッチで表現するのは選手達本人だからです。彼らがそれを面白いと思ってくれなければ元も子もありませんし、そしてそんな集団にハッピーエンドが待っているわけがありません。志の高い選手の数はリーグの競技力と比例します。カテゴリーを上げれば上げるほどその選手の数は多くなります。なのでできるだけカテゴリーの高い場所で指導がしたいです。そんな中、この地域で最も歴史と実力のあるクラブから話をもらいました。プロクラブを外せば選手の競技レベルは県ナンバー1。プロになる選手がいるクラブです。まさに「一緒に仕事したい!」と思える選手が多くいるクラブからの話でした。しかし残念ながら第二監督としてのオファーで、まだまだ現場の責任者として活動したいという想いが強い自分には向いていない話でした。

基準2「対象年齢」

もう一つは指導する「対象年齢」。これまで16歳以下の選手達を見ていましたが、今回は指導対象年齢を上げて19歳以下リーグで活動したいと思っていました。ただこれは簡単なことではありません。新しい監督市場に乗らなければいけないからです。自分はU16カテゴリーでこそ昨年1部への昇格を経験し、今季はそこで指揮をとりました。しかし首になりましたし、そもそも19歳以下の高いレベルで指揮をとった経験はありません。日本でもそうですが、U19カテゴリーとなるとカテゴリーの数が増えます。こちらでは5部制(U16)から7部制(U19)になります。そこで上位カテゴリーで指揮をとらせてもらうのは中々簡単なことではありません。

そんな中そのU19カテゴリーの話を頂きました。トップチームは昔プロリーグにいた老舗クラブで、現在はその再建の真っ最中。「お前と新しいプロジェクトを一緒に作り上げたい。」と話をくれました。U19カテゴリーであり、おまけに看板チームであるU19Aチームの話でした。強い信頼を感じるオファーです。ただU19Aは4部から5部に落ちかかっている段階で、競技力という面でも自分が理想とする場所からは少し距離がありすぎました。ここでも「急ぐな」「機を見るんだ」という先輩方のアドバイスが頭をよぎります。ただいつまで待てばいいんだ、と言いたくなるわけです。次に話が来るという保証はどこにもありません。なので悩みます。その他にもいくつか話を頂きましたが、行きたい、と即決できるものはありませんでした。

基準3「   」

ある日、心配した仲間が他のクラブに売り込んでやろうか?言ってくれました。僕はそこで確信を持って「うん」と言うことができないことに気づきます。「なるほど。何か大事な基準が自分の中にあることに自分で気づいてないんだろうな。」と思いました。そこから暫く自分はどんな場所で指導がしたいんだと問答を繰り返す日々が続きました。チーム探しというのは、一見自分の外側にあるものを探す作業のように見えます。しかし、結局は自分の中にあるものを探す作業のような気がします。そしてある日、突然降ってきたかのようにその答えが見つかりました。この基準が足りてなかったのかと。そして早速、電話をしました。解任され、自分からも別れを告げたクラブと話をするためでした。すると「直ぐに話そう」と言ってくれました。

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