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イニゴ・ロペス連載#2 1日のトレーニングについて

「あなたにとってトレーニングとは何なのか?」

その問いについて自問自答し、自分自身の定義を見つけたところからがスタートと言えるでしょう。

トレーニングするというのはどういう意味か?なんのために練習するのか?トレーニングをどのように発展させていくのか?誰のためにトレーニングをするのか?ということです。

私はサッカーの練習をこのように定義しています。

「個人やグループのピッチ内、ピッチ外におけるトータルな学びの要素を高めるための、教えと学びの相互作用のプロセスである」

そして、それはサッカーにおいてだけではなく、彼らの人間形成の側面にも関連しています。

「プロセス」「教えと学びの相互作用」「ピッチ内、ピッチ外におけるトータルな学び」という3つのキーワードについて、詳しくみていきましょう。

プロセス

どのように現場にアイデアを落とし込んでいきましょうか?ある理論を紹介しながら話を進めていきましょう。サッカーの競技特性をしっかりと抑えながら構築された理論です。その名も戦術的ピリオタイゼーション理論。

ここでは、2003年からスペインサッカー現場にも多大な影響を与えている、ポルト大学(ポルトガル)発祥の考え方です。

戦術的ピリオタイゼーション理論では、以下4つの観点からトレーニングをデザインしています。(今回は一言で説明を書いていますが、実際はより奥の深いものです)

特殊性の原則は、自チームのプレーモデルを構築していくためにトレーニングをデザインするということです。それを常に求めてトレーニングをしていきます。

傾向の原則は、トレーニングで達成したい目的(プレーモデルの構築)の現象を全てのメニューで起こるように構成することです。

複雑性の進行の原則は、単純なものから複雑なものへと進むプロセスの必要性を示しますが、常にサッカーが持つ複雑性という性質を失ってはいけません。それがなくなるとサッカーではなくなってしまいます。

水平交代の原則はフィジカル面にフォーカスした原則のことです。試合までの日数によって1週間を割り振っていきます。なおかつ、サッカーの複雑性の要素を尊重しながらフィジカルの調整をしていくのです。

教えと学びの相互作用

指導者から選手、また選手から指導者への教えと学びの相互関係を意味します。

指導者は選手に対して提案やアイデアを持っていなければならず、それがあって初めて選手の学びを促すことができます。

それを前提として、学びと教えることは密接に関連しているのです。

指導者が学べば学ぶほど、それは教えることに繋がります。そして指導者と選手の間に、学びと教えの空間が生まれていくのです。

ピッチ内、ピッチ外におけるトータルな学び:

これは個人とグループの両方にフォーカスしなければいけません。

何を選手に伝えようとしているのかを指導者自身がまずよく理解した上で、そのあと個人とグループの開発にフォーカスしていくのです。

そして、選手という前に、1人の人間であるということを忘れてはいけません。大事なのは選手として、そして1人の人間として学びに寄り添うことです。ピッチ内とピッチ外は密接に関わりあっているということを常に念頭において、サッカーの指導現場に立たなくてはいけません。

そのようにして自身の理論を持って現場に立つわけですが、うまくいかなければそれを修正すれば良いんです。

しかし、修正して立ち返るようにできるようにするためにも、元々の目的地を持っていることが重要なのです。そのためにも、最初にトレーニングについて定義することが大切になるということです。冒頭で触れた、トレーニングとは何なのか?について考えること。これが日々の活動のよりどころになるわけですね。

1日のトレーニングの流れ

ここからは練習メニューを準備することについて、具体的な例を挙げて紹介していきます。

トレーニングではどこにフォーカスしましょうか?

サッカーの側面:

-前に早くプレーしすぎるので、ボールを保持している時にはゆっくりプレーすることも必要。

-ボールを持っていないときには情報収集するために周りを見ることができない選手がいる。

-センターバックの選手は相手がプレスに来たら状況にかかわらず全部蹴ってしまう。

グループ、個人としての側面:

-数人の選手は練習において目的意識を持って行うことが難しい。

ここからは、私が指導者としてそのような課題のある選手たちに対して実際に行ったトレーニングの流れを紹介します。セッションはミーティング、ウォーミングアップ、2つのトレーニングメニューで構成します。

練習前ミーティング

設定した目標について話をします。特定の選手に練習の詳細について質問したり意図的に働きかけるよう注意します。センターバックの選手に何が見えていて、何が見えていないかについて質問します。そうすることによってその選手達が考察を深めるスペースを創り出すわけですね。

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vs4でのボールポゼッション。ボールを持っているチーがの中、外、遠く、近くを認知できるよう、グループでのレベルを高めます。

ボールを持っていないサポートの選手にはボールホルダーに近づくのか、離れるのか、トライアングルを作るのか、プレッシャーを受けているゾーンからボールを動かすのかを判断するように話します。重要なことは中、外、遠く、近くのサポートの構造を保持することです。

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ここでは前ばかりを見ないように促すために、縦方向に深みのないシチュエーションを再現します。相手を動かしてから前進する。この順番を学んでもらいます。このメニューではむやみやたらにドリブルでいくとぶつかってしまうことも学べます。

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この内容については、次回のビデオ販売でもより詳しく紹介していきます。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

サッカー指導者 イニゴ・ロペス

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