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CAオサスナ 〜才能流出によって揺らぐ“育てて売る”〜

1.バルサ、レアル、ビルバオ。そしてオサスナ。

今回はCAオサスナというサッカークラブを皆さんに紹介します。

CAオサスナは現在スペイン2部リーグに所属するプロサッカークラブです。

同クラブはソシオ(年間会員)による自治が敷かれる数少ないサッカークラブとしてスペイン国内でも知られています。

これらのクラブでは四年に一度ソシオの間で会長を選出する選挙を行います。

そしてその選挙に当選した会長がクラブ全体の指揮をとるというルールでクラブが運営されています。

オサスナの他にはFCバルセロナ、Rマドリード、アスレチック・ビルバオの3クラブが同じ制度のもとクラブ運営を行っています。

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そんなCAオサスナは毎年一部リーグで最も少ない年間予算を抱えるクラブの一つでありながら、なんとか一部残留を達成し続けるクラブとして国内では知られてきました。

しかし、そんな彼らも昨シーズン、15年振りにリーグ降格を経験します。

そして2部リーグを戦う今季、彼らは3部への降格争いに巻き込まれると言った苦しいシーズンを迎えています。

 

2.パンプローナ市

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皆さん、パンプローナという町をご存知ですか?

CAオサスナが拠点を置くホームタウンです。

スペイン北部に位置し、人口約20万人の自然に囲まれた静かな町、パンプローナ。

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世界で最も大きなお祭りの一つであり、スペイン三大祭りの一つとも言われる「牛追い祭り(サンフェルミン祭)」が実施される町としても知られています。

牛追い祭りは毎年7月に行われ、日頃人口20万の町がこの期間だけ多くの観光客によって100万人にまで膨れ上がります。

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また、日本の山口市との姉妹関係を持つ町としても知られていて、町には「PARQUE YAMAGUCHI(山口公園)」という大きな公園があり、市民の憩いの場となっています。

 

3.クラブ存続に関わるミッション 〜60万人の中から選手を見つけ、育て、売る〜

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そんなパンプローナ市を県都とするのがこのナバーラ県(地図の黒色部分)です。

ナバーラ県の人口は約60万人。

日本でいうと鳥取県のそれ(約57万人)よりも少し多いくらいです。

そんなナバーラ県内にある唯一のプロサッカークラブがこのCAオサスナなんです。

クラブはスタジアムとは別にパンプローナ郊外に立派な総合練習場を所有しています。

そこには天然芝サッカーコートが2面、人工芝サッカーコートが5面整備されています。

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ナバーラ県内の若い優秀なプレーヤー達はこのオサスナ下部組織に集まってきます。

事実、これまでにオサスナ下部組織からは多くの優秀なサッカー選手が輩出されているんです。

現在世界の第一線で活躍するオサスナ下部組織出身選手を挙げるとすれば以下の四名です。

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ハビ・マルティネス(バイエルン・ミュンヘン所属)

 

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ラウル・ガルシア(アトレティコ・マドリード所属)

 

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セサル・アスピリクエタ(チェルシー所属)

 

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ナチョ・モンレアル(アーセナル所属)

以上四名の選手達は皆、今でこそ世界の名だたるビッグクラブでプレーしているものの、元々はナバーラ県で生まれ、オサスナ下部組織でプレーしていた選手達です。

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写真の人物は、オサスナ下部組織を26年間見続けてこられた元オサスナ育成部長のマノーロ・ロスアルコスさんです。

マノーロさんは同クラブを「選手を売るクラブだ」と表現します。

事実、ハビ・マルティネス選手はオサスナのセカンドチームでプレーしていた2006年、A・ビルバオに600万ユーロ(当時9億円)で売却されています。

この額はオサスナの当時の年間予算の約3分の1です。

その翌年、ラウル・ガルシア選手はアトレティコ・マドリードへ移籍金1300万ユーロ(5年契約)で売却。

2010年にはアスピリクエタ選手がフランス、マルセイユへ移籍金950万ユーロ(4年契約)で売却。

2011年にはナチョ・モンレアル選手もマラガCFへ移籍金600万ユーロ(5年契約)で売却。

このようにオサスナというサッカークラブにとって“良い選手を育てて売る”ことはクラブ存続に関わる重要なミッションなわけですね。

現在同クラブトップチームにはスペイン代表に召集される将来有望な若手が3人在籍しています。

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左から、ミケル・メリーノ(MF 1996年生まれ)、ミゲル・オラビデ(MF、1995年生まれ)、ヨキン・エスキエタ(GK、1995年生まれ)。

彼らの今後の動向にも注目です。

 

4.Aビルバオとの複雑な関係 〜ナバーラ県人流出問題〜

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CAオサスナは上記のミッションを遂行する上で深刻な問題を抱えています。

それはナバーラ県で生まれた優秀な子ども達を他県のプロクラブに引き抜かれてしまうという問題です。

その主となるクラブがアスレチック・ビルバオです。

アスレチック・ビルバオはナバーラ県内にある複数のサッカークラブと経済的交渉を行い、それらのクラブでプレーする優秀な子ども達は優先的にアスレチック・ビルバオに紹介するよう契約を交わしています。

上の写真は今季のアスレチック・ビルバオトップチームの選手達です。

黄色で記された選手達は、前述のようなクラブを経由してアスレチック・ビルバオへやってきた選手達です。

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ビルバオの若きエース、イケル・ムニアイン選手も。

 

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主将のカルロス・グルペギ選手も。

 

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スペイン代表センターバックのミケル・サンホセ選手も。

 

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守護神のゴルカ・イライソス選手も。

 

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そして、スペインU22代表にも選手され、今最も波に乗っているクラブ初の黒人ストライカー、イニャキ・ウィリアムズ選手も。

彼らは皆、ナバーラ県で生まれながらオサスナ下部組織でプレーをしなかったナバーラ県人達です。

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このように、CAオサスナは自分たちが優先的に活動できるはずのナバーラ県内において、優秀な人材が流出するという問題に直面しています。

 

 

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