rayoenzamudio2

ラージョならではの士気の高め方 〜パコ・ヘメス監督のミーティングから〜 

パコ・ヘメスがやってきました

eibarymadridenmapa

ラージョ・バジェカーノ(於:マドリード)が今節SDエイバルとの試合を行うためバスク地方へ遠征に来ていました。

近くの練習場で当日の調整トレーニングをすると聞いて少し覗いてきました。

練習場所や時間は公式には発表されませんが、僕たちがラージョ好きであることを知る指導者仲間がこっそりと教えてくれました。

 

世論に旋風を巻き起こすその哲学

rayoenzamudio

彼がラージョの監督になって3シーズン。

今ではスペイン国内で最も今後のキャリアが注目される監督の一人になったパコ・ヘメス氏。

4部リーグという、スペイン代表でプレーした選手としては比較的低いカテゴリーから指導者キャリアをスタートした彼は、自身の実力で様々なクラブで結果を出しこのステージまで上り詰めてきました。

今では国内で最も頻繁にメディアで取り上げられる監督の一人になっています。

彼がここまで注目を集めるのは、その“信念”にあるでしょう。

彼のチームはどんな相手するかに関わらず、チームがどの順位にいるかにも関わらず、常にボールを握って試合を進めようとします。

「結果が全て」が常識とされるこの世界で彼のスタイルは異様だと言えます。

なぜなら、プロの世界で、ボールを握るサッカーをここまで徹底的に貫き通すことはFCバルセロナ以外は不可能だと考えられているからです。

pacoenruedadeprensa

言うのは簡単です。

戦術的分析ができる人も沢山います。

時間帯によってそういうサッカーをするチームも沢山あります。

しかし、シーズンを通して、選手を説得し、メディアから選手達をしっかりと庇いながら、ポゼッションサッカーを押し通す人は存在しません。

どんなことがあっても自身の信念を貫き続ける彼の哲学は、ここ近年のスペインサッカー国内世論に旋風を巻き起こしています。

多くの批判が存在するのも事実です。

なぜなら、彼のチームは“あり得ない形”で失点をするからです。

育成年代で起こるようなビルドアップ中のミスがきっかけで彼のチームは失点をし、それが原因で勝ち星を落とすことがしばしばあります。

勝利至上主義はこれを許しません。

「プロフェッショナルとはなんぞや?」という観点からも彼のその姿勢には大きな批判が浴びせられます。

 

難しいモチベーション維持

rayoenzamudio3

そんな彼のチームは現在、モチベーションの維持が非常に難しい状況にあると言えます。

クラブの年間目標は毎年、「一部残留」。

現在、リーグ終了まで7節を残し、順位は11位。

降格圏へは10ポイントの差つけています。

そして上を見ればヨーロッパリーグ出場圏枠までは14ポイントもある状況。

「残留に向けて絶対に油断してはいけない。」と言いながらも、心のどこかで安心してしまいそうな状況ですね。

そんな彼らは今節残留争い渦中にいるエイバルのホームへ乗り込みます。

因みにこのラージョのクラブの史上最高順位は8位。

パコ・ヘメスが就任1年目で成し遂げた順位です。

このリーグで最も少ない年間予算でなんとか一部に残留しているクラブです。

 

空気を変えたミーティング

そんな状況下で行われた今日の調整練習。

会場には誰もいなかったおかげで、練習前のピッチ上ミーティングの内容がよく聞こえてきました。

みなさんならこの状況でどんな話をして選手達のモチベーション管理をサポートしますか?

rayoenzamudio2

今回彼がミーティングで強調していたのは選手達個人の今後のキャリアアップについてでした。

「俺たちはとても小さなクラブなんだ。」とクラブの現実を確認しながら、選手達が自身のキャリアアップにクラブを利用することについて話をしていました。

 

「『もっと活躍してもっと注目されたい!』『でかいクラブでプレーしたい!』と心の底から願ってる奴らを俺は使いたいって思ってるんだ。」

 

そう強い語調で進められる彼の話はチームの空気を締まりのあるものへと変えていきます。

話が終わった時にはチームの雰囲気が一変していました。

僕達はそれを聞いて「ラージョらしい全体ミーティングだなぁ」と感銘を受けました。

saulymessi

ラージョというクラブは経済的事情上、毎年チーム半数以上が入れ替わります。

そしてこのクラブにやってくる選手達は、「安い選手」「契約が切れた選手」達ばかり。

そんな彼らの大半は移籍市場が閉まるギリギリでやってきて、また1年後には他のクラブへと去っていきます。

ラージョというチームは選手達がステップに利用する場所でもあるんですね。

今季Aマドリーで活躍するサウル選手もその内の一人。

Aマドリーのユースチームからやってきた彼は、昨季19歳の若さでラージョのレギュラーを張り、1部リーグでの貴重な実践経験を積んで再びラージョを去っていきました。

 

ラージョならではの士気の高め方

eibarrayoenipurua

サッカー監督の仕事は、選手個人の意欲を如何に高めてあげるかが大きなウェイトを占めています。

選手の意欲を高める方法は無限に存在するでしょう。

特定の答えはありません。

各選手が年間を通じてどういった感情を抱えているのか、これを敏感に察知し、それに寄り添ってあげることが結果的に選手のモチベーションUPに繋がります。

そしてそれがチームの士気を高めることになります。

今回のパコ・ヘメス監督のミーティングは、自身のキャリアをより良いものにしたいという選手の“欲”を上手く刺激したものでした。

escudo-rayo

ただ、往々にしてこの手の話は監督と選手個人で行われるものだと思っていましたが、クラブが変わればそうでもないんですね。

今回のように大変のメンバーが共通した“欲”を持っているラージョのような場所では、全体に向かってこういったテーマを投げかけることができるんですね。

新鮮な“全体”ミーティングでした。

Comments