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リーガを観て指導する 第1節

リーガエスパニョーラが開幕しました。どの国のリーグでも開幕節というのはある意味各チームのお披露目会の色が濃くなります。サッカーの醍醐味である試合内の様々な駆け引きを楽しむ良さも勿論ありますが、それに加え昨シーズンからチームがどう変化し、それをどうプレシーズンで準備してきたのかその変化を楽しむことができる特別な時間でもあります。各クラブ強化部がデザインした各トップチームがどんなサッカーを表現するのか。新しい監督を連れてきたチームでは志向するサッカーそのものが変わります。つまりチーム全体をモデルチェンジするチームを観ることができます。また同じ監督で同じ種類のサッカーを志向するチームでも、選手の入れ換えがあったことによるマイナーチェンジを楽しむことができます。今回はそんなリーガ開幕節をレポートします。

超攻撃的モデルチェンジ

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今シーズンモデルチェンジしたチームの典型がエスパニョールとセビージャでしょう。中でもセビージャは物凄く攻撃的なサッカーに移行しました。前任のウナイ・エメリ(バスク人)が趣向した徹底的にリスク管理を重視したサッカーから、サンパオリとリージョ(バスク人)による徹底的にリスクを冒しにいくサッカーに。大きな哲学の変化でもあります。全ては前チームとのビルドアップを比べるとはっきりします。昨年はセンターバック二枚とボランチ二枚が中央から出ることはなくそのエリアを試合を通して支配することを重要視していました。そこから一転して今季はそのエリアには今年は1人しかいません。昨年最も重要視して人数をかけていたエリアを今年は最も手薄にすることになります。攻撃的で非常に魅力的な反面、今季は試合を通じて失点しない方がおかしいサッカーを趣向しているといえますね。とにかく目が離せませんね。

大きな変化をもたらすマイナーチェンジ

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これぞ「ザ・マイナーチェンジ」。ガイタンの加入はアトレティコ・マドリーのフットボールに大きな多様性を与えてくれるものになりました。開幕戦でもその片鱗が見えたと思います。あの魔法のようなミドルレンジのパスはシメオネ監督が指揮をとってからのアトレティコには存在しないものでしたし、チームに新たなエッセンスを加えてくれるでしょう。またセンターフォワードのケビンガメイロの加入によるアントワーヌ・グリーズマンとのツートップの破壊力は名実ともにバルサ・マドリーのそれと肩を並べます。あと今季のアトレティコ・マドリーが毎試合招集するベンチメンバー18人は間違いなくクラブ史上最強。そういう意味ではバルセロナも同じ。ベストメンバーに大きな変化はありませんが毎試合の18人で見た時は昨年よりも格段に強いチームになりました。

変化しないという強さ 〜1つのスタイルを磨き続ける重要性〜

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オサスナのような稀なケースもあります。監督も同じ、そしてメンバーも昨年と殆ど同じというケース。変わったのは昨年2部から1部に上がったことよるカテゴリーの変化のみというケースで、今シーズン降格第一候補に挙げられているチームです。昨年は2部でもかなりきついだろうと言われていたメンバーでギリギリプレーオフに滑り込んだ同チームは、そのまま厳しい昇格戦を勝ち抜きリーグ昇格を果たします。若きエースであり町のヒーローであるミケル・メリーノをドルトムントに放出した以外は大きなメンバーの変更はなく、寧ろ戦力ダウンで臨んだ開幕戦ではマラガホームで勝ち点1を獲得しました。今から移籍ウィンドウが閉まるまでにどんな選手が加入するのかが重要になってきますね。そんな彼らを開幕戦のでの戦いぶりをみて感じたこと。それはサッカーというスポーツにおいて明確なスタイルを持ちそれを一心に磨き続けることの重要性です。選手の質では明らかに劣るオサスナの選手達は昨年から採用している3バックでの戦い方を今年も実践。格上のマラガと堂々と渡り歩きました。また地元ナバーラ出身のエンリケ・マルティン監督は地元選手を多く採用することでも知られており、3バックの3人を含めエンバーの半分がナバーラ人であることもこのチームの特徴の一つです。

悪い意味で変化なし 〜高いリズムでトレーニングする重要性〜

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セルタ、アスレチック・ビルバオ、ビジャレアル、デポルティーボラコルーニャ(勝ちはしましたが)など中々うまくいっていなかったチームがいくつかありました。その中でも「それにしても大丈夫か」と心配になったのがレアル・ソシエダです。開幕戦にレアル・マドリーを迎えるという大きなモチベーションで試合を迎えることができながら低調すぎるパフォーマンスを披露。才能あふれる中盤選手を抱えながら昨年からバルサのエウセビオ監督の下ポゼッションサッカーを趣向していますが一向に「悪い」ままです。何度かトレーニングを見に行きますが、非常にプレーリズムの低いトレーニングをしているのが印象的でした。そのトレーニングメソッドはエイバルのそれは対照的です。メンディリバル監督のトレーニングは、語気を強め常に高いインテンシティを求め、意図的にフリーズをなくすことで最大限のプレーリズムを練習で獲得させています。開幕戦非常に高いパフォーマンスでプレーすることができたエイバルを見ると改めて高いリズムでトレーニングすることが如何に大切かを感じずにはいられませんでした。

輝き続ける南国フットボール

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ラスパルマス。昨季降格路線真っしぐらのチームの指揮を執り、徹底したパスサッカーで劇的な後半戦で終わってみれば余裕の残留を果たしたキケ・セティエン監督。今季も開幕戦からやってくれました。バレンシアを圧倒します。3点目のゴールは開幕節ベストゴールでしょうし、最後の采配もしびれました。2−3でリードするものの防戦一方だった試合終盤、守備的な強化を行わず逆にエースアラウホを投入しバレンシアの息の根を止めます。ラスパルマスというのはスペイン領でありながら所在はアフリカに位置するカナリア諸島州都をホームタウンにするクラブ。そこに住む人々の特徴や抱える文化は大きくスペイン本土のそれらとは異なります。そんなカナリア人がスタメンの半数埋める同チームのプレーにはいつもその南国の空気が流れています。そういう意味で守備が非常に弱いというところもこのチームが愛らしさでもあります。ボールを握れない試合では大きく苦しむんですね。一方で攻撃時の魅力は抜群です。中でも両センターバックのビルドアップ力はリーガで一位二位を争うものでしょう。そして何と言ってもロケ・メサ選手。圧巻です。今季セビージャが熱心にラブコールを送っていたにも関わらずそれを断ったスペイン屈指のピボーテ。今節も輝いていました。(ロケ・メサ選手の短編ドキュメンタリー  https://vimeo.com/160342638

その他の注目

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昨年2部を優勝して1部に昇格してきたバスクのサッカークラブディポルティーボ・アラベスはアウェーでアトレティコ・マドリー相手に劇的なゴールを決め勝ち点一を獲得。驚いたのはレベルの高い守備ブロックでした。特に、キーパー、センターバック、サイドバックが非常に良い選手を抱えていて、しっかり統率が取れていたことです。同チームを一言で言うと「守備陣は1部レベルでも攻撃陣は2部」でしょうか。夏のウィンドーが閉まる少しの間に如何に前線を補強できるかが大事になってきそうです。

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ついにスペイン一部リーグにもあのカタール国家プロジェクトが到着しました。第1期生のデビューです。2022年のW杯に受けてカタールが国を挙げてアスパイヤーアカデミーの卒業生アクラム・アフィフが今季からスポルティングヒホンで活動し、開幕戦の後半途中から出場。試合展開的になかなか活躍するのは難しく目立ったプレーはできませんでしたが、今後の彼のプレーに注目です。

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もう一人楽しみになのはグラナダのアルゼンチン人センターフォワード、エセキエル・ポンセ。昨季はイタリアの育成リーグでプレーしていたようですが、オフザボールの動きや得点嗅覚のようなものは非常に気なりました。今後の彼のプレーにも注目したいですね。

以上、リーガ第1節レポートでした!

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