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リーガを観て指導する 第8節

プランデッリの監督の船出 〜新しいリーガの見どころ〜

スペインリーグにまた新たなヒーローがやって来ました。また楽しみなチームが増えましたね。これまでの記事でも触れてきたようにバレンシアはアイデンティティを欠くプレーが続き、看板選手パコ・アルカセルが移籍、監督のパコ・アイェスタラン氏が解任される等低迷が続いていました。ちなみに毎度次の監督が就任するまでは暫定監督を務めるボロ氏は同クラブ元選手であり長年トップチーム主務を務める人物なのですが、彼の暫定監督としての勝率はこれまでの歴代監督を凌ぐものだそうです。きっと彼が監督になる時は監督をする上で大事なことを実践しているに違いありません。個人的には気になっているところでもありますが。そんなバレンシアにやってきたのがチェーザレ・プランデッリ監督。あのリッピ氏が率いた伝統的クラシックなイタリア代表に大改革をもたらし、ポゼッションを志向したサッカーで2012年のユーロではセンセーショナルなフットボールで世界中を魅了しました。カッサーノとバロテッリのギャング2トップを率いて予選リーグでスペイン代表を圧倒したあのサッカーは誰もが覚えているのではないでしょうか?そんなプランデッリ監督が率いるバレンシアの船出となる一戦は、まずは守備を構築して結果をと言わんばかりの硬いサッカーでした。今節2得点を挙げたマリオ・スアレスはラジオでこう答えています。「明確なアイデアと規律を持ちながら非常にコンパクトにプレーすることができたと思う。まだまだ監督と一緒にトレーニングをした時間が少ないけれど、これからどんどん彼のフットボールを吸収して表現していきたいと思うよ。」これからのバレンシアには目が離せないですね。これでリーガの見どころが一つ増えました。

バスクダービー 〜リーガ唯一のオールコートプレスの中で見えた青い信念〜

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今季リーガ1部には5つのバスクサッカークラブが所属しています。これは何度もこの地方でバスクダービーが行われることを意味します。しかしこのカードは中でも特別です。アスレチック・ビルバオはバスク最大の都市ビルバオを県都とするビスカヤ県を本拠地に活動する西の横綱。対してレアル・ソシエダはどうか。彼らが活動するギプスコア県は国内で最も小さな県でありながらも、美食の街であり世界最高の観光地として知られる県都サンセバスチャンを要します。両者とも生え抜きの選手を多く抱えるクラブとして知られています。そんな両県を代表する選手達は小さい頃からずっとライバルでやってきました。公式戦で初めて彼らが顔を合わせるのはリーグのグループが県内を跨いだ範囲に伸びる15歳になるシーズンから。それからと言うもの彼らはずっと比べられて来ている間柄です。この週だけはモチベーションを下げようとしないとないと良いプレーができないと言われものです。またこの両クラブはバスクのみならずスペイン国内で最も歴史のあるクラブでもあります。87年前にリーガエスパニョーラが発足した際の最初の加盟10クラブの内の2つです。ホームサンマメススタジアムで無敵を誇るアスレチック・ビルバオも面白いものでレアル・ソシエダだけには2012年以来ホームで勝つことができていません。この不甲斐なさを払拭すべくビルバオ側世論は強く動いていました。

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皆さんはポゼッションサッカーをする相手に対してどんな守備をしますか?ビルバオはバルサと戦う時はいつも高い位置からのプレッシャーをかけます。強烈なサポーター達の存在もあり圧力鍋のようになるサンマメススタジアムから大きな後押しを受けて。これまでの記事でもレアル・ソシエダについては書いて来ました。バルサのエウセビオ監督が就任して以来それまでのカウンターを主体とするサッカーからポジションプレーを主体のサッカーへと移行してきました。まだまだそのプロジェクトを進めている最中のレアル・ソシエダ。そんなソシエダに対して最終的にビルバオのバルベルデ監督は高い位置でのプレッシャーをかけない策に出ました。なぜでしょうか?色んな要素が挙げられます。プレッシャーをかけるというのは相手にロングボールを蹴らせるスイッチにもなりかねる存在です。もしかしたらソシエダのセンターフォワードで空中戦に強いウィリアン・ホセにボールを納めようとして欲しくなかったからでしょうか。もしくはスタメンで起用したムニアインとイニャキ・ウィリアムズの前への推進力という攻撃面の良さを引き出す為だったのでしょうか。しかしソシエダは間違いませんでした。慎重にビルドアップを行い何度も自陣からボールを持って前進することに成功します。ゴールが入った後、ビルバオは大きく舵を切ります。近年のビルバオの十八番でもある高い位置でのプレスを掛けるべく体重を前がかりにオールコートプレスへと切り替えました。現在リーガの中で数少ない高いプレスをかけ続けられるチームの一つがこのビルバオです。ここでは皆さんがレアル・ソシエダであればどうしますか?長いプレーを選ぶか自分たちのプレーモデルに忠実に短いプレーを選び続けるか。最終的に彼らは後者を選びます。そして結果的にはその決断が2失点に絡むボールロストを生ませることになり、敗北を喫します。とは言うもののここに来てエウセビオ監督の改革に兆しが見えてきた試合でもありました。非常にリズムの高い状態でパス交換を行い前進していくシーンがいつになく見られましたし、なにより自分たちの哲学を貫いたことによって信念のようなものが見えました。この手のプロジェクトは我慢強くやり続けなければ結果はでないと言われます。そういう意味ではその後が少し楽しみだと思わされたのではないでしょうか?セルヒオ・カナレスの復帰も朗報です。

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