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サッカー界の社会主義と資本主義 〜EURO2016でのドイツとスペインを見て〜

ドイツvsポーランドは0-0の引き分けに終わりました。今日の試合でも感じたのがドイツは今大会頭一つ抜けているということですね。それは多くのポジションで世界トップレベルの選手を抱えてることからも窺えます。一方ポーランドはそれらのレベルの選手によって埋められたポジションの数が前者ほど多くありません。(とは言え今日の試合がこの国のサッカーが成長していることを証明した試合になったのは間違いありません。)またそういう観点から見てみると、スペインとドイツという両国は各ポジションの選手の質から見て今大会トップ2と言えます。

ただ両国のそれぞれ”国全体”のレベルを見た時には差があるように思えてなりません。スペインが圧倒的に抜けているのではないでしょうか?それは各ポジションにおいて抱えているトップレベルの選手の数の違いからも言えます。例えば、左サイドバック。ドイツ代表ではJonas Hectorが先発で出ましたが彼がスペイン代表でスタメンで出ることは難しいかも知れません。一方スペインは今回招集された3人に加え、代表に呼ばれなかったメンバーの中には、ベルナッ(バイエルン)、モンレアル(アーセナル)、アルベルト・モレノ(リバプール)とユーロ出場国殆どのでスタメンを張れる選手達がいます。他にもイスコやディエゴ・コスタといった他の国ではエースを張れる実力を持ちがなが招集されなかった選手達がいます。きっと両国が代表チームを5つ作って大会に出場した場合、はっきりと差になって現れると思いますし、それに似た現象が近年クラブチーム単位で現れています。UEFAの大会(チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグ)での各国の成績ですね。

espanaeneuro2016

この差は何なのか?その背景には両国のサッカーの構造が影響しています。ドイツのサッカーはエリート教育色の強いスポーツだとも言われます。代表強化も国が主導になって全国から良い選手を集め英才教育を施す、言わばサッカーを「社会主義的に」強化していると言えます。一方スペインは完全な、そして強烈な「資本主義」。多くの場合選手は育成されたというよりは生き残ってきたという言葉を使う方が的確です。同国では国内・州内・県内・市内にある強烈なライバル関係を背景に各クラブが切磋琢磨するわけですが、そこでは徹底的な勝利至上主義が発生します。ヨーロッパ各国の育成事情を知る人物(スペイン人)が言っていましたが、スペイン国内の育成年代における勝利へのプレッシャーは他国のそれとは比べもにならない、と。

それがいいか悪いかといえば悪いことの方が多いかも知れません。なぜなら行き過ぎた勝利至上主義は非健康的だからです。事実スペイン国内ではこれはちょっとした社会問題にもなっています。このプレッシャーを理由にサッカーから離れていく子ども達が沢山いるからです。またあまりに客席から醜いヤジが飛ばされる為教育的観点からサッカー場は「野蛮な場所」と見なされ、他のスポーツを子どもに選ばせる親も少なくありません。これらは結果的にその国サッカーレベルも低下させることにもなる為改善しなければいけない要素でしょう。

しかし、各地域で逞ましいサッカー選手が現れやすい構造になっているのは間違いありません(スペインでは高校生になるまで全国大会がなく、公式戦は各州レベルで完結します)。そして高校生、Bチーム(U23)と年齢を増していくにつれてその戦いの範囲は広くなり、同時に戦う相手の幅も広がります。そしてそんな中でも生き残り、且つ違いを見せ続けてきた選手が代表のユニフォームに袖を通していくわけです。それらが結果的に各ポジションに複数人のトップレベルの選手が揃うことに繋がるわけですね。因みに育成年代のスペイン代表は他国と比べ年齢不相応のプレーをします。それはU19,U21,U23あたりになると顕著に現れます。

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