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楽しい、速い、上手い、美しいベティス 〜キケ・セティエン監督の哲学〜

しばらく空いてしまいましたがまたリーガについて書きたいと思います。というのもこの試合は見なくちゃ、書かなくちゃという試合でした。異なる階層のチームが同じように魅せるフットボールをぶつけ合う好カードでした。このゲームの主役の一人は間違いなくこの人、キケ・セティエン。今年のリーガを語る上で欠かせない監督です。フットボールのプレーの仕方というのは多くあります。そしてそれは相手が点を取りたい時、点を取られたくない時、ホームでプレーする時、アウェーでプレーする時で使い分けることもできます。しかしながらこれはキケ・セティエンの哲学とは相反します。彼の表現するフットボールは常に一つ。betissetien1

今季のベティスは結果もしっかり出しています。ただやはりこのチームは何より観ていて楽しい。ラスパルマスからベティスへ移籍したセティエンは前クラブで掲げていたプロジェクトを今季も継続します。採用したシステムも同じ433。しかしながら抱える選手はラスパルマス時代とは違い、シーズン序盤は柔軟性・流動性が欠けた”硬い”セティエンのフットボールになっていました。そんな中、足りてなかったピースを埋めるようにこの冬ドルトムントからCBマルク・バルトラの獲得が実現します。343の中央のセンターバックを務めるバルトラはこれまで長年セティエンと一緒に戦ってきた選手のようにチームの舵を取り始めます。またそのウィィングも深みのある選手を採用し、中盤の二人は二人ともトップ下タイプのグアルダードとファビアン・ルイスです。betissetien0この試合両ウィングは上手くマドリードの中盤の背後をとり、深みはウィングの2人が与えます。セティエンのベティスは常にコンパクトフィールドを形成し、幅と厚みを失わずにみんな一緒に前進します。中盤二人はベティスのフットボールのスピードを上げます。グアルダードは長いプレーを、そしてファビアンは短いプレーを主に担当します。センターバック達はしっかりとボールを扱い、キーパーのAdanも強いパーソナリティーでこのフットボールの空気が抜けないよう後ろから栓をします。才能の塊のような10番のRyad Boudebouzのプレー振りにはため息が出るほどです。結果相手チームはボールを追っかけピッチ中を走り回ることになります。強固な哲学の中で各々の個がひときわ輝いていました。betissetien2セティエンの特徴はその勇敢なポゼッションサッカーだけではありません。積極的に下部組織の選手を起用するところにもあります。事実ウィングのJunior Firpoと中盤のFabian Ruiz、そしてセンターフォワードのLoren Morónは下部組織出身で将来有望な若手達です。おまけにLoren Morónが試合に出る事でベンチに甘んじているのはこの夏の移籍で獲得した非常に優秀なアタッカーSanabriaとSergio Leonなのですから驚きです。このゲーム、レアル・マドリードはプレーで勝ったというよりは選手で勝ったと表現していいでしょう。ベティスの楽しい、速い、上手い、美しい、そんなサッカーを見ることができた素晴らしいゲームでした。この試合は観るべきですし、分析するべきでしょう。そしてそれを元に自分たちの日々の現場に何か生かすことができないか考える教材のような空間でした。

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