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ジローナの機能美に沈むマドリード 〜カタルーニャ独立運動の最中で〜

カタルーニャと中央政府の問題。国が民主化されて以降、最も政治的な問題が表面化しているスペインで、国中が注目する試合が行われました。試合が実施される2日前の金曜日、カタルーニャ州議会では州独立宣言が賛成多数で可決されます。その直後中央政府はカタルーニャ州首相Puigdemont氏を解任し、これら一連の行為は法を犯す国家への反逆だと「州議員を刑務所に入れる」と威嚇します。J10GIR-RMA2今回試合が行われたジローナ市はカタルーニャ州主要都市の一つです。また州首相を解任され現在ベルギーに逃避していたPuigdemont氏の出身地でもあります。そんな彼はジローナ市長も歴任するなど町にとっても重要な大切な人物です。そんなジローナに中央の象徴レアル・マドリードが乗り込むというということで、試合自体が中止になるのではないかとデマが流れるほど、政治的にもデリケートなタイミング・場所で行われた試合となりました。勿論スポーツ的な観点からも見てもこの試合は重要な試合です。クラブ創設以来初めてリーガ1部を戦うジローナがあの欧州チャンピオンのレアル・マドリードをホーム迎えるわけですから。また町のお祭りとも重なるということでもうこの試合はジローナにとっては政治・スポーツ・文化を一緒くたにした空前絶後のビッグイベントとなりました。J10GIR-RMA3

ジローナは開幕時から私たちフッボラが興味を持っていたチームでした。プレーモデルがしっかりと打ち出されていて、チームのパーフォマンスは個の能力ではなくしっかりと組織されたチーム力に支えられています。これまでの勝ち点はその組織力でもって獲得してきたとはっきり言えるでしょう。各自の短所を他の長所で補いながらしっかりとチームとしてオーガナイズされていて今年のスペインリーグで最も機能美を感じることができるチームです。今節もお馴染みの3421システムで442菱形のレアル・マドリードに立ち向かいます。両ウィングがワイドいっぱいを取り、センターフォワードのStuaniが相手の両センターバックを貼り付けて2人のトップ下であるPortuとBorja Garciaにアプローチに行けないようにポジションをとります。この二人はCasemiroの両脇をとりいくように立ちながらボールの高さによってサイドに流れるかどうかの判断をします。ジローナがどこから前進していくかはマドリードがどう動くかによって変わります。マドリードが中を閉めれば外から、外を閉じれば中からといういうように非常にチーム全体が同じ絵をイメージしながらしっかりと連動してプレーしていました。守備ではマドリードのミッドフィールダー達が自由にプレーできないよう523布陣を敷きながら中央のスペースを閉じます。一方パプロ・マチン後半は大きな戦術的変更を施します。より343(ライン)布陣に近いかたちで後ろのスペースを空けながら前がかりに仕掛けていきます。これはしばしばロナウド、ベンゼマ、イスコとの3対3が生まれることを意味します。しかし前でのプレッシングが効いていたのと、マチンの言葉を借りながら言うと「より短いパスの反復」を行うことでその危険なスペースへボールを運べれることを回避します。そして高い位置でボールを奪い初めより相手陣地でプレーすることに成功し、終わってみれば2-1の歴史的逆転勝利を納めます。ジローナの素晴らしい戦いぶりに大きな拍手を送りたいと思います。J10GIR-RMA4

今回のお祭りを祝うジローナの地元の人たちの中でどれだけがここまで出来すぎたクライマックスを予想したでしょうか。夢見心地でその日を終えたに違いありません。そして独立を支持するカタルーニャ州の人々にとっても政治と結びつけて喜ばずにはいられない試合だったことは言わずとも伝わるかと思います。サッカー監督・サッカー選手という職業が社会に与える影響力に考えさせられた一日になりました。

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