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リーガを観て指導する 第8節

ATH-SEV  圧力釜で掻き消されたセビージャ 〜ホームアドバンテージについて考える〜

アスレチックビルバオは一ヶ月上勝ちがなく街には半ば失望にさえ近い空気が漂う中迎えた代表ウィーク明けの一戦。良いカタチでリーグをスタートさせていたセビージャを迎えます。ビルバオは代表ウィークではアドバンテージを抱えます。なぜなら多くの代表選手を抱えていないからです。二週間に渡ってチーム作りができるいわばボーナスウィークを通じてしっかりと準備をしてきました。一方でセビージャはエデル・バネガ、ガブリエル・メルカド、ルイス・ムリエルと行った木曜日に代表活動を終えてチームに合流する選手達がいました。J08ATH-SEV2それにしてもどの国のリーグでもアウェーチームのプレーモデルに大きな影響を与えるスタジアムとそこまで影響を与えないスタジアムがあるものです。ビルバオのサンマメス・スタジアム明らかに世界を代表する“前者”です。バスク人の特徴であるパワフルでダイレクトなフットボールを圧力釜のようなスタジアムがそれを煽り立てます。ここでのブーイング(ビルバオの場合は指笛と野次)は本当に耳を閉じたくなるくらいの音量です。ただそんなスタジアムも試合開始時は静かなもの。むしろアウェーサポーターの声しか聞こえないほど静まりかえっています。皆、まずは各チームのプレーやレフリーのジャッジを監視しています。しかしゲームが進行するにつれてその見守る姿勢は失われていきます。レフリーのジャッジにミスが続いた時や相手チームの卑怯なプレーや危ないプレーが続いた場合は強烈なブーイングが巻き起こります。まるでそれまで静かだった大自然を怒らせてしまったように“罪人達”はスタジアム内の強烈な地響きと嵐雨にさらされます。耳の奥までツーンと響く強烈なブーイングの中で、きっと初めてスタジアムを訪れる人は「耳栓持って来たらよかったな汗」と思うことでしょう。もちろんサッカー選手も人間です。アウェーチームの選手は萎縮していきます。これがビルバオがホームで圧倒的な強さを誇る理由です。J08ATH-SEV3サッカーの話に戻りましょう。ビルバオのインテンシティとパワーを相手にあのグアルデゥオラでもセウドゥ・ケイタをインサイドハーフにおいてそのパワーに対抗せずにはいられませんでした。今回のセビージャを率いるベリッソ監督はどうか?ベリッソ監督には196cmのスティーブン・ゾンジーがいます。彼であれば中盤の底でアドゥリスやラウル・ガルシアによる嫌らしい空中戦をしっかり処理できます。しかし前半20分そのゾンジーが故障してしまいます。そこに出て来たのは我らがミカエル・クロン・デリー(フッボラは彼の大ファンです!)。彼がピッチに立つとポゼッションサッカーというオーケストラを指揮する指揮者のように自チームのサッカーを調律していきます。彼が見ているもの、見つける速さ、そして正確性は間違いなくリーガ屈指です。しかし残念ながらここはサンマメススタジアム。ビルバオが持ち前のインテンシティとダイレクトプレーでどんどんセビージャを自陣に押し込んでいきます。そこではクロン・デリーは“劣等生”です。空中戦では大きく苦しみます。もう一つ、セビージャには問題がありました。深みを出せる選手がいないということです。セビージャはショートパスに重きを置きながらポゼッションサッカーを志向するチームです。しかし、短さだけでは結局サッカーというゲームを有利に進めることはできません。長さがあって初めて引き立つ短さ。そういった意味では二列目から裏に抜ける選手やスピードのあるセンターフォワードと言ったビルバオの守備陣に背後を気にさせる選手が少なかったことが気になりました。J08ATH-SEV4セビージャは後半、徐々にそして最後には完全に劣勢に立たされていきます。サンマメスという圧力釜の中で徐々に彼らのポゼッションサッカーの勢いが消えていってしまいました。改めてサッカーというスポーツにおけるホームアドバンテージについて考えさせられた試合でした。まだ始まったばかりの新しいセビージャ。あのビエルサが一番弟子と認めるベリッソ監督のプロジェクトはこれからどんな発展を見せていくのしょうか。引き続き追いかけたいチームです。やはりこの試合だけで今年のセビージャについて話すのは難しいところがありますね。なぜならそこはサンマメスだったからです。

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